アメリカの州によっては、プロベートから家を守る選択肢として、トランスファー・オン・デス・ディード(Transfer on Death Deed 略してTODディード)と呼ばれるものがあります。
所有者が死亡した時点で家を相続する人(英語ではBeneficiary ベネフィシャリー)を指定できる「権利書」のことを指します。指定するのは一人とは限りませんし、団体を指定することも可能です。家を購入した後に発行される権利書をもとに所在地の郡に「登記」する必要があります。
時間とコストがかかり、複雑な手続きのプロベートを避けることができ、リビング・トラストを作成するよりも安価ということもあり、手続きも簡単なTODディードの登記を行う方々も増えています。
アメリカの場合、「遺言書」だけではプロベートを避けることができません。
また、リビング・トラストを作成する際必要な「トラスティー(トラストを管理する人、通常はその土地に居住している人が望ましい)」がいらないのは、日本人にとってはありがたいかもしれません。
TODディードが指定する相続人の変更はいつでも可能です。
夫婦二人の共有名義の家の場合、たとえば夫が先に亡くなったとして、必然的に残された妻が家の単独の所有者になりますが、TODディードも変更することができますので、それまでTODディードで相続人となっていた人の名前をキャンセルして、別な人の名前に書き換えることも可能です。
便利なTODディードですが、現在のところ、州法で認めている州は以下の29州と一つの地区となっています。
アラスカ州
アリゾナ州
アーカンサス州
カリフォルニア州
コロラド州
ハワイ州
イリノイ州
インディアナ州
カンザス州
メイン州
ミネソタ州
ミシシッピ州
ミズーリ州
モンタナ州
ネブラスカ州
ネバダ州
ニューメキシコ州
ノースダコタ州
オハイオ州
オクラホマ州
オレゴン州
サウスダコタ州
テキサス州
ユタ州
ヴァージニア州
ワシントン州
ウェスト・バージニア州
ウィスコンシン州
ワイオミング州
ワシントンD.C.
アメリカの法律は変わることが多いです。
このリストになくても新たに加わったり、逆に取り消されたりすることもありますので、TODディードに変更しようかと思われた方は専門家にご相談ください。