事例2(米国大使館での公証サポート②)

 

お客様は2人。米国に住んでいたお兄様が亡くなりました。お兄様は離婚後、ずっとお一人でロサンゼルス近郊の大きな家に住んでらっしゃいました。家の権利は100%お兄様でした。ご自分の死期が近づいていることを悟ったお兄様は生前リビング・トラストを作成されました。

ご自分の死後、家は日本に住む弟と仲がよかったご自分の友人(Aさん)が半々で権利を持つように、その他の預貯金は日本の妹に、そのような内容でした。

ご葬儀が終わった後、日本から来ていたお二人は仲の良かったAさんと話し合い、結果お兄様が残した家はAさんがすべて権利を持つことになりました。長年のご関係で、Aさんとご兄弟の信頼もあったようです。弟さんとしては日本に居てもアメリカの家の管理も面倒だし、もめごとになるのも嫌だし、すべてをAさんに託される、ということでお話しがまとまったとのことでした。話し合いの中身は手書きでしたが、皆さんの署名が書かれてあり、Aさんはそれを弁護士のもとに届けました。

リビング・トラストを作成するときは、トラスティー(トラストを管理する人)を指名します。この場合弟さんと妹さんのお二人が指名されていました。弁護士はまず、妹さんがトラスティーとしての権利を降りる書類を作成し、次に弟さんお一人をトラスティーとする書類を作成しました。これによりその他の書類に対して弟さんお一人がトラスティーとなる訳ですから、手続きが簡単になります。次に弟さんがお兄様が作ったトラストの中身を理解しているという証明書、50%の権利をAさんに譲るための書類、など一連の書類を作成しました。これらすべてに公証が必要になりました。

書類はすべて英文で書かれていますし、内容のほとんどが法律用語ですので、理解するには時間もかかります。突然そのような書類を渡され、「この場所にサインしてください」と言われても躊躇してしまいます。

今回は大使館へお連れする前に書類を持って内容を御説明に伺うことになりました。そして1週間後、お二人納得の上、大使館で公証を行うことができました。

今回の書類は相続を放棄する書類がありましたので、事前に状況をよく理解し、お二人に面会した時にもその旨を確認する作業を行いました。

後日談ですが、妹さんからご自身のもとに届いたアメリカからの書類について不明な点があるので見てもらえないか、との事でご連絡がありました。現在、カリフォルニア州都市部の不動産は非常に高く、弟さんが放棄した家の価値も相当なものでしたが、妹さんが受け取られた金額はそのおよそ10分の1の金額でした。

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