2020年H-1Bビザの申請が4月の第1週目から始まります。例年、年明けすぐのこの時季になると申請希望者が続々と弁護士事務所へ相談にやって来ます。
アメリカの大学に通う留学生が卒業後の就職を目指す場合の就労ビザがこのH-1Bビザです。ただ、H-1Bビザで申請できる職業はSpecialty Occupationと言える職業、たとえばエンジニアなどの技術職、会計士、教師、医者、弁護士、などのような一般的に学問と経験によって知識を身に着けた職業が中心と言えます。残念ながら営業、事務、販売などのような職業はあてはまりません。多くのアメリカ人の職を奪うような職種はNGということになるでしょうか・・・。日本人の場合、大学での専攻が実務に直結しない、英文科、国文科などの文学系の方が多いのですが、これらの学士号ではH-1Bの取得がとても困難です。また、大学を出ていない場合、社会経験3年分が大学1年分に相当し、短大での学位プラス6年の実務経験を持っている場合、H-1Bが申請できる可能性もあります。ただし、どのような職業かにもよりますのでご注意ください。
H-1Bビザは1年の取得可能枠が限られています。一般的な4年制の学位(学士号)を取得した人までは65,000の枠内で、アメリカの大学院以上の学位を取得した人、修士号以上、博士号を持つ人はさらに20,000の枠がプラスされます。この枠があるため、毎年申請開始から1週間以内にはこの枠以上の申請希望者がありますので、抽選(Lottery)となります。申請したにもかかわらず、抽選にもれて審査もしてもらえず、滞在ビザも切れてやむなく帰国、という方も大勢いらっしゃいます。ちなみに、アメリカの大学院以上の学位を取得してH-1Bビザを申請する方の方が枠が広く、また今年はさらに優遇されるようなニュースも出てますので、一般的な学士号でH-1Bを申請する人にとっては益々狭き門となりそうです。
4月までにすべての書類を準備万端揃えて移民局へ送付しても5月の半ばを過ぎたころに抽選に漏れた方の書類が移民局の封筒に入れられて戻ってきていました。ところがこの方法では莫大な費用と余計な手間と時間がかかるということで、ネットで登録して最初に抽選を行い、抽選に受かった人だけが書類を送るという方法に変えていこうという動きがあるようですが、まだ正式な発表はありません。
また、このH-1Bビザですが、学校を卒業したばかりで社会経験が少なくても、雇用者側にとっては給与をある程度(その地区の中間賃金以上)出さなければいけません。たとえば、ロサンゼルスカウンティーのCivil Engineerの場合、レベル1で時給33.85ドル、年収で70,408ドルを保証する必要があります。(こちらで調べることができます→http://www.flcdatacenter.com/)
なかなか日本では考えられない仕組みですね。
アメリカのIT企業や一般に知られている大手企業は毎年このH-1Bビザを多くの優秀な外国人に取得させています。力のある企業はこのようにして世界中からどんどんいい人材を確保して、ますます大きく成長していくのでしょう。
申請をお考えの方はなるべく早めに弁護士とのコンサルテーションを行うことをお勧めします!